ピアノにおいて、音楽性をつけていくにはどうしたら良いか?
音楽的な演奏ってどうやって習得するのか?
通常はレッスンで教えてもらえばいいじゃん・・・と、考えがちですが・・・残念ながらそれは違います。
前にも書きましたが、それは「付け焼き刃的」です。
ちょっと面白い話をしましょう。
あなたがある演奏を聴いて感動したとします。
ああいう演奏をしてみたい・・・ああ、でもそれは無理・・・と考えがちですが・・・そんなことはないんです。
まあやろうと思えば不可能じゃない。
その理屈を書いていきます。
あなたがある人の演奏に感動したということはその演奏に共鳴したということなんです。
同じ部分で同感だった・・・ということです。
同感した、共通した感情。
つまりあなたはその部分を理解、および共有しているはずなんです。
理解しているから、あなたは感動したわけです。
理解していなかったら「感動」しない。
では、その理解した部分を今度はそのままピアノで直に弾いて同じように演奏すればいいんです。
・・・なんて・・・
「無理に決まってんだろ!」
はい・・・そりゃ巨匠の演奏そっくりは確かにきついです(汗)
しかし、それは端から端まで。全部の部分をきっちり完璧に表現して演奏できるか?ということなので、一部分だったらなんとかできないわけでもないと思いますよ。
ただし、たとえ一部分であっても相当練習しないといけないとは思うんですが。
まあ巨匠とかって言葉を出してくると話がややこしくなるので(汗)
もう少し庶民レベルまで落としましょう。
子供の生徒でもいいのですが、音楽表現がバッチリできる生徒というのは、頭の中でその音楽のイメージがはっきりあるわけです。
イメージはひょっとすると巨匠のCDだったかもしれませんが、まあそこまで上質でなくても構わないと思います。
そしてそれを今度は鍵盤を通して、「具現化」していくんです。
生徒はその音楽性をよく理解しているからできるわけです。
もし、その音楽性を理解していなかったら、絶対表現はできない。
もちろん先ほどの「付け焼き刃」的な指導で、操り人形的に指導すればなんとかできますが(汗)。
さて、ここでその「具現化」なんですが・・・。
具現化ははっきり言って、簡単ではないです。
そこには鍵盤をどう操るか?そしてどう操ったら頭の中にある音が具現化されるか?となります。
多分、それぞれ学習者は頭の中に理想の「音楽」があるかもしれない。
私だってある。
ショパンのマズルカでさえ理想の音楽が「頭」の中にある。
しかし・・・頭の中にあるだけで「具現化」ができない。
つまり自分が弾くと・・・頭の中とはかけ離れた醜い音楽が出てくる(笑)
はい、ここで一般人は諦めて、やめてしまうわけです。
これ以上「醜態」を晒したくないと(笑)
まあここからが・・・
ピアノ道・・・の登場ですな(汗)
私だって、講習会やらで巨匠の演奏を目の当たりにして・・・
先生が「ここはこうやって弾くんだ」と指導して・・・。
「そう!そうなんですよ!そういう演奏が素晴らしいんですよね?」
と・・・でも・・・
自分がやってみると・・・うまくいかない。
でも相手はたかが鍵盤です。
どうやって鍵盤を押してどうやってペダルを踏むか?
それだけです。
ここからは・・・まあ正直言って、かなり覚悟した人間でないと・・・無理。
かなり修行を覚悟しないと・・・無理。
巨匠の演奏を一旦頭の中に入れて・・・。
そしてそれを同じように具現化するのは並大抵ではできない。
でも、間違いなく、ヒントはあなたの頭の中にある「音楽」な訳です。
ここからは・・・誰も助けられない。
いくらレッスン代を積んでも助けられない。
一千万円、積んでも保証はされません。
あるのは・・・あなたの血の滲むような・・・
努力。
私はいつでも講習会でのレッスンや、聴講では、いつも同じ思いをするんです。
なんとなく、この曲は、こういう風に弾いたらいいのかなあ?・・・と、いつも漠然と思うのですが、それを巨匠が示してしまうんです。
・・・ああ、やっぱり、そういう演奏だったんだ。それで正しかったんだ・・・と。
ある程度、ピアノを極めてくると、頭の中にぼんやりではありますが、理想の音楽が聞こえてくる。
それを巨匠たちは「具現化」に成功している。
ここまでたどり着けるかは・・・
いやあ(汗)私でさえ・・・
結構きつい(汗)
なぜなら・・・すんごい「修行」が必要です。
ピアノを弾くことの難しさは誰よりもわかっているつもりです。
わかってしまうと・・・練習する前から、ため息が出てくるんですよ(笑)
でも・・・なんとか「具現化」したい。
「修行」って・・・ピンとこない人もいるかもしれませんね。
簡単にご説明しますね。
1.まずはテクニック。
安定した、揺るぎないテクニック。
まずこれがないと・・・もう「無理」
次に・・・
2.正確にかつ冷静に聞く「耳」
大概の人は音を50%も聞いていません。
「聞いて」いるだけで「聴いて」いません。
あなたが聞く「耳」の能力を100%使って1〜2時間練習して見なさいって。
翌日ははっきり言ってレッスンの仕事は疲労のために「不可能」です。
おまけにその「耳」から疲労のために耳鳴りがガンガン聞こえるし(笑)
そして・・・
3.音楽を指揮する自分の中の「指揮者」
指揮者は全ての鍵盤のコントロールを担います。
テンポ、強弱、バランス。
・・・この3つが備わって初めて、理想の音楽の「具現化」に近づけられる・・・
・・・はずなんですが・・・汗。
ここから先は・・・学習者はわかるでしょう(汗)
ここが・・・前回もお話ししたように・・・
・・・演奏する方が指導よりよっぽど難しい・・・
につながるわけです。
私は3歳からピアノを弾いているので、もう51年間もピアノを練習しています。
それで・・・情けないことに、この程度です。
自分がピアノが弾けない・・・とお悩みでしたら・・・
50年間はピアノを弾き続けてください(笑)。
そうすれば・・・
誰でも、ほんの少しは、わかってきます。
まあ50年はちょっとオーバーだとしても、少なくとも10年は必要です。
昔、おっかない体育の先生が「お前ら10年、はえーんだよ、10年!」
と、よく言っていましたが、今更理解した次第です。
ああだこうだ言ってはいけません。
ピアノ道は・・・
甘くない(笑+汗)。年数がかかる。
私は最近よく思うことがあります。
自分はもっと頭の中にある音楽の具現化に努めないといけないって。
漠然とした頭の中の音楽は大概、巨匠と同じです。
ああ・・・やっぱりそうだったか・・・と。
でも、いつまでもそう思っているうちに人生が終わってしまう。
急がないと・・・と、つくづつ思います。
梅宮辰夫さんもお亡くなりになってしまいましたし・・・(関係ねえか)